RESEARCH
研究テーマ:クロマチン構造を指標にした化学物質のゲノム影響評価
千葉大学大学院 融合理工学府 先進理化学専攻 生物学コース(クロマチン代謝制御研究室)で、化学物質や遺伝子変異がクロマチン構造とゲノム安定性に与える影響を、Wet実験とバイオインフォマティクスの両方から調べています。
背景と目的
化学物質の安全性評価では、DNAに直接損傷を与えるかどうか(遺伝毒性)が中心に調べられてきました。一方で、DNA配列を直接傷つけずに、クロマチン構造や遺伝子発現の制御を変えることで発がんなどにつながる作用(非遺伝毒性)は、従来の試験法では捉えにくいとされています。
このテーマでは、クロマチン構造の変化を定量的に捉える指標をつくり、化学物質の非遺伝毒性的な影響を評価する枠組みの確立を目指しています。エピゲノム変化が自然免疫応答や発がんリスクにどうつながるのかを明らかにすることが、最終的な目標です。
アプローチ
ATAC-seq によるクロマチン構造の評価
ATAC-seq は、Tn5 トランスポザーゼがアクセスできるゲノム領域を次世代シーケンサーで網羅的に読み取る手法です。化学物質処理の前後でクロマチンアクセシビリティの分布がどう変わるかを比較し、ゲノム全体の変化を評価指標として扱う方法を検討しています。
Wet実験とデータ解析の組み合わせ
細胞培養・ライブラリ調製などのWet実験と、リード処理(BWA / Bowtie2、SAMtools、BEDtools)、ピーク検出(MACS2)、RNA-seq との統合解析などのバイオインフォマティクス解析を一貫して行っています。
主な発表
Student and Early Career Investigator Best Abstract Award 受賞
ベストプレゼンテーション賞 受賞
関連する共同研究
エピジェネティック作用の評価試験
ハウスキーピング遺伝子 TK を利用し、化学物質によるエピジェネティックな作用を双方向に評価する試験法の論文に共著者として参加しました。
Dual-directional epi-genotoxicity assay for assessing chemically induced epigenetic effects utilizing the housekeeping TK gene(Scientific Reports, 2025, 15, 7780)
DNA損傷応答・RNA修飾・自然免疫
DNA損傷応答とイノシンRNA修飾(A-to-I RNA編集)の関係や、DNA修復酵素 RNase H2 の機能不全による自然免疫応答の仕組みを調べる研究に、共同研究者として参加しています。